ここ数年東南アジア方面への旅行に頻繁に行くようになりました。お楽しみはいろいろある訳ですが、そのひとつが現地のポップス。1990年前後のワールドミュージックブームで日欧米以外の音楽の洗礼を受け、特にアジアのポップスには、それが単に音楽として面白いというだけでなく、自分も持っているであろう「アジア的な感覚」に誇りを持ってよい、ということを自覚させられました。当時は若かったし、コトの道理もよくわからず、なんとなく西欧的なものへの憧れが強かった訳です。日本とかアジアとかって西欧よりもちょっとあれかな、みたいな。今思うととんでもないですね。これを矯正してくれたのがアジアの素晴らしい音楽でした。日本のものも含めて、です。
もう20年近く前になる当時はインターネットなんぞもちろんなく、今のようには内外の情報が容易に手に入りません。というよりは、学生だったので自由になるお金があまりなく、それほど好きに音楽ソフトが買えない。そんな状況でした。海外旅行は一般的になっていましたが、自分はつい数年前まで海外に出たことがなく、特にその当時は、海外なんてほんとに遠い世界、なんか怖そうだし、自分には縁のないものでした。
数年前に仕事でアジア方面に出向くようになり、それをきっかけに自分でも旅行するようになりました。これらの場所で音楽好きにとって嬉しいのは、音楽ソフトが非常に安価なこと。お金は昔に較べたら自由になるし、ジャパンマネーの強みもあり、旅行に行く度にアホほど買ってきます(大した金額にはなりませんが)。買いすぎて、聴かないまま「積ん読」ものも多いですが、適当に買ってくる分新しい出会いがあって楽しいです。
アジアのポップスが楽しいのは、土着的なスタイルやアジア的な感覚だけではなく、音楽的な質の高さと娯楽性、大衆性を両立させるものをまだ多く残しているからだと自分では感じています。
日本のポップス、というか歌謡曲も、その昔は娯楽的・大衆的かつ日本独自の感覚を持ったものでしたし、自分も大好きです。これがニューミュージック作家の進出、更におニャン子クラブ以降、大きく変わってしまった訳です。大まかに言えば、個の表現と西洋的スタイル(アーティスティックと見える感覚)への接近が求められ、さらにリスナーの感情に訴えるものが好まれるようになりました。
自分が好きなのは音楽家ではなく「音楽」なので、音楽家には個性の表現ではなく、レベルの高い音楽の創出を求めます。音楽のレベルと個性は全く別の次元にあると認識しています。これは個性を否定しているのではありません。個性的な音楽は寧ろ好きです。言いたいのは、音楽を作る作業がリスナーの方を見ておらず、「この素晴らしい俺/私を見て、聴いて!」という低い志に終わっているのが気に入らない、ということです。自作自演の音楽家に限らず、こういう志向/演出は少なくないと感じます。
今の西洋志向はスタイルの模倣だけではなく、我々が本来持つ日本人的な感覚(日本の土着スタイルという意味ではない)の排除を伴うことが多く、その結果、魂のないスカスカな音楽が生まれます。タイの西洋的なポップスの多くがつまらないのも同じ理由だと思います。「和魂洋才」という言葉があります。この言葉の通り、西洋のスタイルと日本人の魂を両立させた素晴らしい音楽は過去に沢山ありました。今はどうも「無魂洋才」でも受け入れられるようです。
感情への訴えと音楽のレベルも、次元を異にします。感情に訴える音楽がいい音楽だという誤解はリスナーのレベル低下を招き、その結果、感情に訴えるだけのどうでもいい音楽が巷に溢れるようになりました。
一時期「桜」を冠した歌が多くリリースされました。桜... いいじゃないですか。自分も「桜」という言葉を聞くと、日本人独特の様々な感覚が喚起されます。でも、そこで歌われる歌、音楽はどうでしょうか?いい歌もありました。でも、詞も曲も演奏もあまりにお粗末な志が低いものが多かったのも確かです。そんなものに大好きな「桜」を歌われるのも嫌でした。音楽は感情で聴くものではないでしょう。それは酒やドラッグで体に刺激を与えたり、性器を弄るのと大して変わらないのではないでしょうか(酒やドラッグ、セックスやマスターベーションを否定しているのではありません)。
一方で、アイドルポップスは、アイドルという製品パッケージの一部分を成すのみとなりました。いや、パッケージの一部であることに何ら不満はありません。ただ、一部のファンを満足させ瞬間的な売上を稼ぐだけのために作られる子供騙しの音楽では、自分は満足できないというだけです。若くてかわいい女の子は、それだけで魅力的です。求めるのは、若くてかわいい女の子が(或いは女の子を通じて)質の高い娯楽が提供されることです。そうでなければ、アイドルにはセックスイメージとしての存在しか残らないでしょう。
最近アイドルグループPerfumeがブレーク、CDが大ヒットしていると聞きました。ウェブでよく見るのは、YMO/エレクトロ世代の30-40代のおっさん(自分もそうです)が言う「こんなにマニアックなサウンドをアイドルポップスで世に出してくれて秀樹感激」というようなコメントですが、ヒットの理由はそれだけではないでしょう。
あの音楽が素晴らしいのは、上記の日本のポップスが抱える問題点を全て解決しているところではないでしょうか。中田ヤスタカ氏が生む、決してマニアックではないわかりやすい曲及びサウンドは大衆を向いており、かつ質が高い。三味線もヨナ抜き音階も自分の知る限り使われていませんが、あの曲とサウンドは日本人、少なくともアジア人以外には作れないでしょう。歌にも歌詞にも、制作者や歌手の自己満足的な志向は感じられません。しかも若くてかわいいピチピチの女の子が歌ってる、という。少し前の作品ですが、「ポリリズム」MVのかしゆかのテクノぶりは最高です... とかなんとか。
... 話をアジアのポップスに戻します。
現地での適当なジャケ買いだけでなく、タイやインドネシアなどのポップスを紹介する諸先輩方のブログは楽しみに拝見し、買い物の参考にさせて頂いています。そんな内に、自分でも好きな音楽を紹介してみたくなり、このブログ開設となりました。自分は文章があまり巧くない上、所謂「レビュー」に関しては、例えば美味しいものを食べても「おいしい」としか言えないような幼稚なレベルでしかありませんが、素敵な音楽を多くの方と享有できたらいいなと思っています。
また、音楽は好きですが、根気がないことからなかなかマニアックになれず、大した知識はありません。間違いとか誤解とか不十分なところとかがあれば、ご指導いただけると幸いです。
なお、「国際ミュージック」というのは、鹿児島にあったストリップ劇場の名前からとりました。さっき調べてみると、2003年に廃業したそうです。自分は残念ながら入ったことがありません。「国際」「ミュージック(カタカナ)」という言葉が、特にその昔持っていたちょっと淫靡な大人の匂いが好きです。これってパチンコ屋とストリップ劇場のせいなんでしょうか?
「国際ミュージック」なので、アジア以外の音楽にも触れていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。